映画館の設備というとIMAXやDolby Cinemaが有名ですが、それ以外にも映画館各社が独自に導入しているさまざまな設備があります。
たとえばTOHOシネマズの「TCX」、イオンシネマの「ULTIRA」、シネマサンシャインの「BESTIA」など。
ほかにも音響に特徴があるスクリーンや、映像が左右まで広がるSCREENX、座席が動く4DX・MX4Dなど、映画館によってさまざまな設備があります。
こうした設備を知っておくと、
大きなスクリーンで観たい。
音響にこだわって観たい。
映像に包まれるような環境で観たい。
座席が動く映画を体験してみたい。
といった好みに合わせて映画館を選べるようになります。
この記事では、映画館で見かける代表的なスクリーン・映像・音響・体感型設備について、それぞれどんな特徴があるのか紹介します。
大型スクリーン
映画館の設備の中でも分かりやすい違いが、スクリーンの大きさです。
同じ映画でも、大きなスクリーンになるほど視界に占める映像の割合が大きくなり、映画館らしい迫力を感じやすくなります。
映画館各社には大型スクリーンを特徴とした独自規格があり、代表的なものがTCX・ULTIRA・BESTIAなどです。
ただし、この3つがまったく同じ設備という意味ではありません。
TCXは大型スクリーンそのものが大きな特徴ですが、ULTIRAやBESTIAは大型スクリーンに加えて、映像や音響にも独自の特徴を持っています。
TCX
TCX(TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN)は、TOHOシネマズ独自規格のスクリーンです。
左右の壁から壁まで広がる「Wall-to-Wall」の大型スクリーンを採用しており、TOHOシネマズによると、同規模の座席数を持つ通常スクリーンと比較して画面サイズは約120%に拡大されています。
床・壁・天井やシートもダーク系の色で統一し、スクリーン以外からの光の反射を抑える設計になっています。
TCX自体は映写方式や音響方式の名称ではなく、基本的にはTOHOシネマズの大型スクリーン規格と考えると分かりやすいでしょう。
そのため、TCXとDolby Atmosを組み合わせたスクリーンや、TCXに別の音響設備を組み合わせたスクリーンもあります。
ULTIRA
ULTIRA(ウルティラ)は、イオンシネマが展開する独自のシアターです。
特徴は、大型スクリーンだけではありません。
天井近くまで迫り左右いっぱいに広がる専用スクリーンに加えて、明るく鮮明な映像と、劇場全体を包み込むような音響を組み合わせています。
つまりULTIRAは、
大スクリーン + 映像 + 音響
を組み合わせた設備です。
一部のULTIRAではDolby Atmosも導入されているため、同じULTIRAでも細かな設備構成が完全に同じとは限りません。
「大きなスクリーンで観たい」という人にとって候補になる一方、映像や音響まで含めて作られた独自規格でもあります。
BESTIA
BESTIA(ベスティア)は、シネマサンシャイン独自の映画館フォーマットです。
BESTIAは、4Kレーザープロジェクションによる映像と3D音響を組み合わせているのが特徴です。
レーザー映写による明るさやコントラスト、色彩表現に加えて、立体的な音響による没入感を重視しています。
ULTIRAと同様に、単に「スクリーンが大きい」だけで説明できる設備ではなく、映像と音響まで含めた独自の上映環境と考えた方が分かりやすいでしょう。
SCREENXは「大きなスクリーン」と何が違う?
大きな映像で映画を楽しむという意味では近いものの、大型スクリーンとは仕組みが大きく違うのがSCREENXです。
TCXやULTIRAなどは、基本的に正面にあるスクリーンそのものを大きくしています。
一方のSCREENXは、正面だけでなく左右の壁面にも映像を投影する上映方式です。
対応するシーンになると正面の映像が左右まで広がり、視界を約270度覆うような映像になります。
つまり、
大型スクリーン → 正面の映像そのものが大きい
SCREENX → 正面から左右へ映像の範囲が広がる
という違いがあります。
大画面で映画を観たいのか、それとも映像に囲まれるような体験をしてみたいのかで、選び方も変わってきます。
音響に特徴があるスクリーン
映画館の違いはスクリーンの大きさだけではありません。
同じ作品でも、音響設備によってセリフの聞こえ方、低音の迫力、音の位置や広がり方などが変わります。
Dolby Atmosのように複数の映画館チェーンで採用されている音響方式もあれば、映画館チェーンが独自に作っている音響設備もあります。
Dolby Atmos
Dolby Atmosは、前後左右だけでなく頭上にもスピーカーを配置し、音の位置や移動を立体的に表現できる音響技術です。
「後ろから前へ音が移動する」「頭上を何かが通過する」といった表現ができ、映画館の空間全体を使った音響を楽しめます。
Dolby Cinemaにも採用されていますが、Dolby Atmosだけを導入した通常スクリーンもあります。
Dolby Atmosについては、Dolby Cinemaの記事でも詳しく紹介しています。
SAION
SAION(サイオン)は、109シネマズ独自のプレミアムサウンドシステムです。
シアター環境に合わせたカスタムメイドのスピーカーシステムを使用し、大きな音だけでなく小さな音も明瞭に再現することを重視しています。
映画だけでなく、音楽ライブなどの上映にも対応できるよう設計されているのも特徴です。
また、109シネマズプレミアム新宿には、坂本龍一氏が監修した**SAION -SR EDITION-**が導入されています。
轟音シアター
轟音シアターはTOHOシネマズの音響に特徴を持つスクリーンです。
単純に音量を大きくするのではなく、サブウーハーを活かした低音域を強化しながら、各周波数帯を調整した音響環境になっています。
アクション映画やライブ映像など、低音や大きな音を楽しみたい作品では特に違いを感じやすい設備です。
TCXとは別の設備なので、
TCX=大型スクリーン
轟音=音響
と考えると分かりやすいでしょう。
ひとつのスクリーンがTCXと轟音の両方に対応することもあります。
FLEXOUND
FLEXOUNDは、通常のスピーカーから音を聴くだけでなく、座席を通して音の振動も感じられる音響技術です。
日本ではユナイテッド・シネマなどで導入例があります。
4DXやMX4Dのように映画に合わせて座席そのものを大きく動かす設備とは異なり、FLEXOUNDは音を身体でも感じるための音響設備と考えると分かりやすいでしょう。
映写設備
スクリーンの大きさや音響とは別に、「どのように映像を映しているか」という違いもあります。
代表的なのが、
2K
4K
レーザー
RGBレーザー
などです。
ここで注意したいのは、4Kとレーザーは同じ分類ではないことです。
4Kは主に解像度、レーザーは映写に使う光源・映写方式に関する違いです。
そのため、4K+レーザーのように複数の特徴を持つプロジェクターもあります。
BESTIAのように、独自フォーマットの中に4Kレーザー映写が含まれているケースもあります。
映写方式については別の記事で詳しく紹介します。
座席が動く体感型上映
映画の映像や音に合わせて、実際に座席が動く上映設備もあります。
代表的なのが4DX・MX4D・D-BOXです。
4DX・MX4D
4DXとMX4Dは、映画の内容に合わせて座席が動き、風や水などの特殊効果が加わる体感型上映です。
通常の映画鑑賞というより、映画とアトラクションを組み合わせたような体験になります。
細かな特殊効果や座席の動きには違いがありますが、「動く座席で映画を楽しみたい」という目的では近い設備です。
D-BOX
D-BOXも作品に合わせて座席が動く設備です。
ただし4DXやMX4Dのように水や風など多数の特殊効果を組み合わせる方式とは異なり、座席の動きや振動を中心に映画と連動します。
仕組みは違いますが、いずれも映画を座席の動きと一緒に体験する設備です。
プレミアムシート
映画館選びでは、映像や音響だけでなく座席も重要です。
通常より幅が広いシート、リクライニングできるシート、足元を広く取ったシートなど、各社がさまざまな有料・プレミアム座席を導入しています。
プレミアムシートはTCXやULTIRAのようなスクリーン全体の設備とは少し性質が違い、同じスクリーンの中に通常席とプレミアムシートの両方が設置されていることもあります。
料金が追加される座席も多いため、設備だけでなく追加料金も確認して選ぶとよいでしょう。
設備の名前より「どんな環境で観たいか」で探してみよう
ここまで紹介しただけでも、
TCX、ULTIRA、BESTIA、SCREENX、Dolby Atmos、SAION、轟音、FLEXOUND、4DX、MX4D、D-BOX……
と、映画館にはかなり多くの設備があります。
すべての名前を覚える必要はありません。
大切なのは、自分がどんな環境で映画を観たいかです。
そこで本サイトのスクリーン一覧では、設備の商品名をただ横並びにするのではなく、特徴が近いものをまとめて探せるようにしています。
たとえば、
大きなスクリーンで観たい
→ 大型スクリーンからTCX・ULTIRA・BESTIAなどを探す
音響を重視したい
→ Dolby Atmosや独自音響を探す
座席が動く映画を観たい
→ 4DX・MX4Dなどの体感型設備を探す
といった使い方ができます。
ULTIRAやBESTIAのように複数の特徴を持つ設備は、一つの名前だけで判断せず、実際に備えている映像・音響設備も確認できるようにしています。
同じ分類に入っている設備も、内容がすべて同じという意味ではありません。
まず「観たい環境」から候補を見つけて、そこからスクリーンサイズ、座席数、映写方式、音響などを比べてみてください。
せっかく映画館で観るなら、好みの環境で
同じ作品を上映していても、どのスクリーンで観るかによって体験は変わります。
大きなスクリーンが好きな人もいれば、スクリーンサイズより音響を重視する人もいます。
アクション映画なら低音の迫力を重視したり、作品によっては4DXやSCREENXを選んだりするのも面白いでしょう。
せっかく映画館まで映画を観に行くなら、自分の好みに合った環境で観てみませんか。
本サイトでは、映画館単位ではなくスクリーン単位で設備を掲載しています。
設備名を知っている人は設備名から、よく分からない人は「大画面」「音響」「映写」「体感型」といった好みから、観たいスクリーンを探してみてください。


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