映画館の上映設備の中でも、特によく知られているのが「IMAX」です。
「大きなスクリーンで映画を観るもの」というイメージが強いかもしれませんが、IMAXの特徴はスクリーンの大きさだけではありません。
映写設備、スクリーン、音響、劇場設計、そして上映する映像まで含めて作られた上映システムです。
一方で、一口にIMAXといっても、すべてのIMAXが同じ設備というわけではありません。
現在の映画館にはIMAXデジタル、IMAXレーザー、さらに大型スクリーン向けのIMAXレーザー/GTテクノロジーなどがあり、設備にも違いがあります。
この記事では、まず通常上映とIMAXの違いを見たうえで、IMAXの種類や映像の違いについて解説します。
そもそもIMAXとは
IMAXは、単に大型スクリーンを設置した映画館ではありません。
映写・スクリーン・音響・劇場設計などをひとつのシステムとして組み合わせていることが大きな特徴です。
上映する映画についても、IMAX独自のデジタルリマスタリング処理などを通してIMAXの上映環境に合わせて調整されます。
また、近年では映画を撮影する段階からIMAXでの上映を想定して制作される作品もあります。IMAXの「Filmed For IMAX」プログラムでは、制作段階からIMAX社と制作者が協力してIMAX向けの作品制作が行われています。
つまりIMAXは、
「普通の映画を大きなスクリーンに映すもの」
というより、映像・音響・劇場空間をまとめてIMAX向けに作り上げた上映システムと考えると分かりやすいでしょう。
通常の映画館とIMAXは何が違う?
IMAXの特徴は、大きく分けるとスクリーン・映写・音響の3つです。
大型スクリーン
IMAXシアターに入って、まず分かりやすい違いがスクリーンです。
大型スクリーンを客席から大きく見えるよう配置することで、視界の広い範囲を映像が占めるようになっています。
ただし、IMAXだからスクリーンの大きさが決まっているわけではありません。
同じIMAXでも実際の横幅や高さ、座席数は映画館によって異なります。
「とにかく大きなスクリーンで観たい」という場合は、IMAXという名称だけでなく、実際のスクリーン寸法も比較したいところです。
IMAX専用の映写システム
IMAXでは専用の映写システムを使用します。
ただし、IMAXのプロジェクターにも複数の種類があります。
従来のIMAXデジタルと、現在普及が進んでいるIMAXレーザーでは映写方式が異なり、さらに大型のIMAXシアター向けのシステムも存在します。
それぞれの違いについては後ほど詳しく見ていきます。
IMAX専用のサラウンド音響
IMAXで映画を観ると、映像と同じくらい印象に残るのが音響です。
IMAXでは独自のサラウンド音響システムを採用し、劇場内で音が適切に聞こえるようスピーカー配置や音響が調整されています。
IMAXデジタルでは複数の専用スピーカーによるサラウンドシステムが使われ、現在のIMAXレーザー、IMAXレーザー/GTテクノロジーでは12chサウンドシステムが採用されています。
IMAXレーザーではサイドやオーバーヘッドにもスピーカーを配置することで、より立体的に音を表現します。
特徴的なのは、単に「大きな音が鳴る」ことではありません。
小さな音の位置まで感じられる精密さと、身体に響くような大音量・低音。その両方を表現できるダイナミックレンジもIMAX音響の魅力です。
IMAXレーザーでは、針が落ちるような小さな音から、お腹に響くような轟音までを再現することが特徴として紹介されています。
実際、映画本編が始まる前に流れるIMAXのオープニング映像だけでも、この特徴はかなり分かりやすく感じられます。
静かな空間に響く小さな音は、音そのものだけでなく「どこから聞こえているか」まで意識できる。一方でジェットエンジンのような轟音になると、耳で聞くというよりも、座席や身体を含めて音を感じるような迫力があります。
個人的にも、IMAXの音響の面白さは**「音が大きいこと」以上に、小さな音から轟音までの振れ幅の大きさ**にあると感じます。
IMAXにも種類がある
日本の映画館で見かけるIMAXには、主に、
IMAXデジタル
IMAXレーザー
IMAXレーザー/GTテクノロジー
があります。
使用するプロジェクターや音響設備などが異なるため、「IMAX対応」とだけ書かれていても、実際の上映環境がすべて同じというわけではありません。
IMAXデジタル
IMAXデジタルは、デジタルプロジェクターを使用するIMAXシステムです。
日本でもIMAXの普及を大きく進めた方式で、2台のデジタルプロジェクターを使って映像を投影します。
現在はIMAXレーザーへの更新が進んでいますが、IMAXデジタルを採用している劇場も残っています。
IMAXレーザー
IMAXレーザー(IMAX with Laser)は、4Kレーザー投影システムを採用したIMAXです。
レーザー光源によって、明るさ、コントラスト、色彩などを向上させています。
そして映像と並ぶ大きな違いが音響です。
IMAXレーザーでは12chサウンドシステムを採用し、サイドスピーカーとオーバーヘッドスピーカーを加えることで、より立体的な音響空間を作っています。
つまりIMAXデジタルからIMAXレーザーへの違いは、単に「プロジェクターがレーザーになった」というだけではありません。
映像と音響の両方がアップデートされたIMAXと考えると分かりやすいでしょう。
IMAXレーザーを導入している映画館
IMAXレーザーは全国の映画館で導入が進んでいます。
2026年9月時点では、TOHOシネマズ、109シネマズ、ユナイテッド・シネマ、イオンシネマ、シネマサンシャインなどの劇場で導入されています。
たとえば東京都ではTOHOシネマズ日比谷・新宿、109シネマズ木場・二子玉川・グランベリーパーク、ユナイテッド・シネマとしまえん、イオンシネマ シアタス調布・八王子滝山などがIMAXレーザーに対応しています。
全国ではさらに、109シネマズ川崎・湘南・ゆめが丘・名古屋、ユナイテッド・シネマ浦和・松戸・札幌・キャナルシティ13など、各地にIMAXレーザー対応館があります。
対応劇場は更新・新設されることがあるため、本サイトではスクリーン一覧から「IMAXレーザー」で絞り込めるようにしています。
IMAXレーザー/GTテクノロジー
さらに大型のIMAXシアター向けに用意されているのが、IMAXレーザー/GTテクノロジーです。
大規模なスクリーンへの投影に対応するため、2台の4Kレーザープロジェクターを使用するデュアルレーザー方式と12chサウンドシステムを採用しています。
日本国内でIMAXレーザー/GTテクノロジーを導入している映画館は、2026年9月時点でわずか2館です。
グランドシネマサンシャイン池袋
109シネマズ大阪エキスポシティ
の2館です。
グランドシネマサンシャイン池袋は約25.8m×18.9m、109シネマズ大阪エキスポシティは約26m×18mという、国内でも特に巨大なIMAXスクリーンを備えています。
そしてGTテクノロジーの大きな特徴のひとつが、一般的なIMAXよりさらに縦方向に広い映像を上映できることです。
ここで関係してくるのが、IMAXを調べるとよく目にする**「1.90:1」「1.43:1」**という数字です。
IMAXのアスペクト比――1.90:1と1.43:1とは?
映画の映像には、縦と横の比率を表す「アスペクト比」があります。
一般的な映画では、横長の**2.39:1前後(シネマスコープ)**がよく使われています。
IMAXでは作品によって、これより縦方向に広い1.90:1の映像が用意されることがあります。
さらに一部の作品では、1.43:1という、より縦方向に広いIMAX映像が用意されることもあります。
イメージとしては、
2.39:1
↓
1.90:1
↓
1.43:1
と数字が小さくなるほど、同じ横幅に対して縦方向の映像が広がっていきます。
もちろん、単純に同じ映像を縦方向へ引き伸ばしているわけではありません。
IMAXの拡張アスペクト比に対応した作品では、通常版では表示されない上下の映像まで見えるようになります。
IMAXなら必ず上下の映像が増えるわけではない
IMAXで上映される映画が、すべて1.90:1や1.43:1になるわけではありません。
通常上映と同じ画角のままIMAXで上映される作品もあります。
より広いIMAX映像を見るには、
作品側にその映像が用意されていること
と、
映画館側がその上映に対応していること
の両方が必要です。
たとえば1.43:1に対応するIMAXシアターでも、作品側に1.43:1の映像がなければスクリーン全面を1.43:1の映像で使用するわけではありません。
逆に作品に1.43:1の映像が用意されていても、映画館側が対応していなければ、その範囲すべてを見ることはできません。
このあたりは少し複雑ですが、IMAXには作品によって通常上映より上下に広い映像を楽しめる場合があると覚えておけば十分です。
Filmed For IMAXとは
映画の宣伝などで「Filmed For IMAX」という表記を見ることがあります。
これはIMAXでの上映を想定して映画を制作するプログラムです。
IMAXは制作者と制作段階から協力し、IMAXフィルムカメラやIMAX認証デジタルカメラなどを使って作品を制作します。
単に完成した映画をIMAX用に変換して上映するだけではなく、撮影段階からIMAXでの鑑賞を想定していることが特徴です。
クリストファー・ノーラン監督とIMAX
IMAXと特に関係の深い映画監督として知られているのが、クリストファー・ノーラン監督です。
『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』『インターステラー』『ダンケルク』『TENET テネット』『オッペンハイマー』などでIMAXフィルムカメラを使用してきました。
そして2026年公開の『オデュッセイア』では、長編映画として初めて全編をIMAXフィルムカメラで撮影しました。
こうした作品を見ると、IMAXは映画が完成した後に選ぶ上映オプションであるだけでなく、映画を撮る段階から作品づくりに組み込まれるフォーマットでもあることが分かります。
IMAX 70mmフィルムとは
IMAXを調べていると「IMAX 70mm」という言葉も出てきます。
これはIMAXレーザーとは別のもので、デジタルプロジェクターではなく、IMAXの70mmフィルムと専用映写機を使用する上映です。
IMAXフィルムカメラで撮影された映像をフィルムとして上映できる方式で、現在では上映できる映画館そのものが非常に限られています。
『オッペンハイマー』や『TENET テネット』なども、海外の一部劇場ではIMAX 70mmフィルムで上映されました。
日本の映画館でIMAXを選ぶ際には、まずIMAXデジタル・IMAXレーザー・IMAXレーザー/GTテクノロジーという違いがあることを知っておけば十分でしょう。
IMAXで観るなら、まず近くの対応スクリーンを探してみよう
ここまでいろいろな違いを紹介しましたが、映画を観るたびにIMAXの仕様を細かく調べる必要はありません。
まずは行ける範囲にどんなIMAXスクリーンがあるのかを見てみるのがおすすめです。
本サイトのスクリーン一覧では、
IMAXデジタル
IMAXレーザー
IMAXレーザー/GTテクノロジー
などの上映設備に加えて、スクリーンサイズや座席数もまとめて比較できます。
同じIMAXでも意外とスクリーンの大きさには違いがあります。
「近くにどんなIMAXがあるのか」「せっかくなら大きなIMAXで観たい」と思ったときは、IMAX対応スクリーンの一覧から探してみてください。


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